箱根駅伝の話

東海大学の初の総合優勝で幕を閉じた第95回箱根駅伝。個人的に印象に残ったことを振り返っていきたい。

 

総合優勝は東海だが、往路優勝は東洋、復路優勝は青山学院とすべての優勝が異なる異例の展開となった今回の箱根駅伝。東海は片道での優勝を逃し、区間賞も8区の小松だけだったが、最も区間順位が2区の湯澤の8位と全員が安定した走りができたことが大きい。特に5区西田、6区中島が区間2位と好走したのが重要だった。

その6区は特にレベルの高い争いが繰り広げられた。序盤から飛ばした東洋の今西と中島は、今西が58分12秒、中島が58分6秒と圧巻の走りを魅せ、首位を争うのにふさわしい見事な戦いを繰り広げた。しかし、その2人を上回ったのが青山学院の小野田。4年連続の山下りとなった最後の箱根で何と57分57秒という前人未踏の区間新記録を達成。首位東洋、2位東海との差はほとんど詰まらなかったが、4年間の集大成となるレースで最高の走りを魅せた。思えば3年前、前年区間賞の村井に代わって6区を任された小野田。この起用は個人的に大丈夫なのか?と思ったが、当時の区間記録に迫る快走で区間2位。その後も2位、区間賞、区間賞とまさに山男という走りを4年間披露してくれた。そして今大会は区間5位の帝京の島貫までが59分切り、11位の早稲田の渕田までが60分切りという未だかつてないレベルの高さだった。山上りに注目が集まりがちだが、下りも本当に見応えのある戦いだった。

 

総合2位となった青学は復路で3人が区間賞を獲得するなど意地をみせた。4区5区でのブレーキは痛恨だったが、それ以前にやはり2区に森田を使えなかったことが悔やまれる。直前の怪我の影響により、2区には梶谷が起用された。安定感のある走りに定評がある梶谷だが、他校のエースと競ったときに渡り合えるだけの力はないように感じた。最終的に区間10位と苦しい走りになったが、やはりゲームチェンジャー的な役割を求めるのはやや酷だったか。仮に森田と梶谷の区間が逆であれば、青学の理想的な展開になっていたのではないかと個人的には思っている。